「療育ってよく聞くけど、実際どんなことをするの?」
「通わせた方がいいのか迷っている…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
私も、息子の発達が気になり始めた頃、「療育」という言葉にたびたび出会うようになりました。
「療育っていつから通わせるの?」「診断がないとダメなの?」と悩んでいました。
でも、実際どんな支援が受けられるのか、いつ・どこで・誰が通えるのか、最初は全くわかりませんでした。
この記事では、「療育ってなに?」という基本の疑問から、わが家が通い始めた理由、療育の内容や感じたメリットとデメリットを、3歳で療育を始めたわが家の体験を交えてお伝えします。
療育の意味と目的|発達が気になる子どもへの支援の内容
療育とは、発達に特性や遅れがある子どもに対して、個々に合った支援や関わりを通して育ちをサポートする取り組みです。
たとえば、こんな特徴が見られる場合に支援対象となることがあります。
- ことばの発達がゆっくり
- 落ち着きがない、集中力がない
- 感覚過敏
- こだわりが強い
- 集団生活が苦手
こうした子どもたちに対して、遊びや生活を通じて社会性やコミュニケーション力を育てていきます。
療育は診断なしでも受けられる?対象となる子どもの特徴とは
「診断が出ていないと受けられないのかな…?」と不安に思う方も多いですが、「発達が気になる」「ことばが遅い」など、診断前の子どもも診断の有無に関係なく、療育が必要と判断されれば受けられます。
実際に、私の息子も診断は出ていませんでしたが、市の発達相談から児童発達支援につながることができました。
「少し育てにくいな」「発達がゆっくりかも?」と感じたら、早めに相談してみるのがおすすめです。
療育施設の種類と特徴|通所・入所・医療型・福祉型の違いも解説
療育にはいくつかの種類があり、子どもの年齢や発達段階に応じて使い分けられています。
療育施設の種類と特徴まるわかり表
施設名/種類 | 対象年齢 | 主な特徴/利用シーン | 主な支援内容 | 分類 |
---|---|---|---|---|
発達相談(自治体等) | 乳幼児〜学齢期 | 初めての相談窓口(保健センターなど) | ・専門職による相談・評価 ・療育機関の紹介など必要に応じた案内 | 相談窓口(導入) |
児童発達支援 | 0〜6歳(未就学児) | 保育園と並行して通える通所型療育施設 | ・遊びや製作を通じた集団活動 ・ことばや運動の支援 ・生活スキルの練習 | 通所型 × 福祉型 |
医療型児童発達支援 | 0〜6歳(未就学児) | 医療機関併設/医師が関わる療育施設 | ・理学療法・作業療法・言語療法 ・医療的ケアと発達支援 | 通所型 × 医療型 |
児童発達支援センター | 0〜6歳(未就学児) | 地域の中核施設。家族支援や連携機能も強み | ・基本的な療育支援+家族支援 ・地域とのつながり支援 | 通所型 × 福祉型 |
放課後等デイサービス | 小学生〜高校生 | 放課後や長期休みに通える | ・学習支援・生活スキル ・余暇活動・社会性トレーニング | 通所型 × 福祉型 |
保育所等訪問支援 | 0〜18歳 | 保育園や学校にスタッフが訪問 | ・園・学校での適応支援 ・先生との連携・対応アドバイス | 訪問型 × 福祉型 |
居宅訪問型児童発達支援 | 通所困難な0〜18歳 | 重度障害などで外出が難しい場合の訪問支援 | ・自宅での療育支援 ・日常生活への個別対応 | 訪問型 × 福祉型 |
障害児入所施設(福祉型) | 0〜18歳 | 家庭での養育が困難な場合の入所施設 | ・生活支援(食事・排泄など) ・日常生活訓練 | 入所型 × 福祉型 |
障害児入所施設(医療型) | 0〜18歳 | 医療的ケアが必要な子のための入所施設 | ・医療ケア・リハビリ+生活支援 ・医師・看護師が常駐 | 入所型 × 医療型 |
発達がゆっくりな息子は「発達相談(自治体等)」「児童発達支援」「児童発達支援センター」を利用しています。
施設タイプ別の整理(分類まとめ)
分類 | 内容 |
---|---|
通所型 | 自宅から通うタイプ。日中だけ施設に通い、支援を受けて帰宅(例:児童発達支援、放課後等デイ) |
入所型 | 施設で生活しながら支援を受ける。24時間体制の長期的支援(例:障害児入所施設) |
訪問型 | 自宅・保育園・学校に専門職が訪問。子どもが慣れた環境で支援を受けられる |
福祉型 | 日常生活支援や社会性の向上が中心。医療的な治療は行わない |
医療型 | 医療行為や看護・リハビリが含まれる。医療的ケアが必要な子どもが対象 |
なお、我が家の息子は通所型の児童発達支援がメインです。
【体験談】わが家が療育を始めた理由
ことばの遅れに気づいた2歳の頃
息子は、2歳を過ぎても言葉がなかなか出ず、行動面にも気になる点がありました。
- 名前を呼んでも振り向かない
- 自分の興味のあることしか見ない
- 指差しをあまりしない
- クレーン現象(大人の手を使って物を取ろうとする)
最初は「男の子だから」「個人差があるから」「個性かも…」「様子を見ようかな」と思っていたのですが、同じ学年の子供たちと少し違う育ち方に、次第に不安が強くなっていきました。
子育て支援課での相談から療育の紹介へ
最初に相談したのは、地域の子育て支援課(保健センター)が実施する育児相談でした。
複数回相談したあと、児童発達支援課での面談を勧められ、簡易的な発達検査を受けました。
「ことばの理解や表現に遅れがある」とのことで、児童発達支援の利用を勧められました。
診断名は医師によって下されるもの、発達検査を実施してくださる臨床心理士さんなどから診断がされることはないので、先ずは相談や発達検査を受けてみることもおすすめです
療育に通うことへの迷いと決心
「うちの子にはまだ早いのでは?」「療育って本当に必要?」と、最初は迷いがありました。
でも、「今できることを一緒に見つけていきたい」と思いました。
支援員さんから「困ってから始めるより、早いうちに関わる方がいいですよ」と言われたことで、やはり今できることを選んでみようと、まずは2歳後半で児童発達支援通所を決めました。
そして、3歳で児童発達支援への通所へと進んでいきました。
療育に通わせて感じた効果とメリット3選
何より「子どもが楽しそうに通っている」ことが、通わせてよかったと感じた理由です。
親目線では以下の3つのメリットを感じています。
1.子どもの成長を実感できる
療育では、遊びや製作、体を使った活動を通して、ことばや社会性を育むプログラムが行われています。
毎回の療育後に「今日はこんなことができましたよ」と伝えてもらえることで、息子の日々の小さな変化に気づきやすくなり、成長を身近に感じられるようになりました。
2.家庭では見えにくかった特性に気づけた
専門の先生方が関わってくれる中で、家庭だけでは気づけなかった息子の特性に気づくことができました。
苦手なこと:感覚過敏 見通しがないと不安になる
得意なこと:視覚からの情報処理がはやい パターンを覚えること
そうした特性に合わせた対応の仕方を教えてもらえるのも、大きな学びになっています。
3.親も子も安心できる場所ができた
療育は子どもだけでなく、親にとっても学びの場でした。
どう接したらよいか、どう声かけすれば伝わるか。
先生や他の保護者との交流の中で、「ひとりじゃない」と感じられることが、心の支えになっています。
そして療育に通い始めてから、息子にも私自身にもさまざまな変化がありました。
子どもの安心
- 安心できる人が増え、やりとり自体も増えた
- いつもの場所でできることが増えていき嬉しそう
- 家でも学んだことを生かしている
- 「楽しかった」と教えてくれるようになった
親としての安心
- 子どもの特性を客観的に見てもらえる
- 今後も含めたやりとりを学べる
- 相談できる環境があり、一緒に悩み、考えてくれる
療育のデメリットと困ったこと|親が感じた3つの悩み
もちろん、療育にも課題や悩みはあります。
1.スケジュール調整の難しさ
平日は保育園と療育の両方に通う日もあり、送迎の負担は想像以上でした。
園を早退したり、午睡の途中で迎えに行く必要がある日もあり、息子の体調や生活リズムが乱れることもあります。
昼寝をしないと機嫌を損ねたり、上手く動けなくなるタイプは、午睡の途中の時間はさけたほうがベター。
空き時間との考慮は必要ですが、子供の体調や気持ちに考慮しながらベターな時間を探す必要があります。
2.他の子と比べてしまい焦ることも
療育にはいろいろな発達段階の子が通っています。
「同じ発達の程度だったのに、こんなにしっかり話せるようになったんだ」と落ち込んだり、成長がゆっくりな息子に焦りを感じることもありました。
でも「その子なりのペースを大切に」と言ってもらえたことで、気持ちが少し楽になりました。
3.周囲との関係に迷うこともある
「療育に通っている」と話すことに抵抗があり、保育園の先生やママ友にどこまで話すべきか悩んだ時期もありました。
今は、保育園の先生や祖父母、親しい友人など、信頼できる人にだけ伝えています。自分と子どもが安心できることを大切にするようにしています。
療育を続けてよかったと思える理由
子どもにとって安心できる居場所になる
療育先では、息子が安心して過ごせるような配慮がたくさんあります。
活動の見通しを伝えてくれたり、得意な遊びを取り入れてくれたり。
”今日は療育に行く日!楽しみ”という表情を見るたび、通ってよかったなと感じています。
親も「わたしだけじゃない」と思える
通っている親同士、「わかる」「うちもそうだよ」と共感しあえる瞬間が増えました。
「発達が気になる子の親」として、孤独を感じていた私にとって、同じように悩む仲間の存在は大きな支えです。
まとめ:療育を迷う方へ伝えたいこと
療育は、診断が出ていないと受けられないものではありません。
「少し気になる」「関わり方がわからない」そんなときにも利用できる支援です。
迷っているなら、まずは相談だけでもしてみることをおすすめしたいです。
子育て支援センターなど気軽に相談できる窓口があります。
いきなり療育に通うのが不安な方でも、話を聞いてもらうだけでも、気持ちが整理されるはずです。
選択肢も広がる可能性があります。
わが家は療育に出会えたことで、子どもへの理解が深まり、関わり方も変わっていきました。
誰よりも、わが子のことで悩んでいるあなたにとっての一歩となりますように。